ビットコイン(BTC)は6月9日、1週間で約10%下落したのち、およそ6万1100ドル前後で取引された。バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)は、市場底値が確認されていないとするアナリストの声が出る中でも投資家に冷静さを保つよう呼びかけた。
トレーディング企業ウィンターミュートは、この下落についてパニック売りではなく、米国の機関投資家による売却とETFからの資金流出が原因と指摘した。ブロックチェーン分析企業サンティメントによるオンチェーンデータでは、小口投資家が下落局面で買い集める一方、大口保有者は保有量を減らし続けている。
CZがビットコイン保有者にパニック回避を呼びかける理由
2023年にバイナンスの運営から離れたCZは、この下落局面について「ビットコイン価格の一時的な調整」であり、終末的なものではないと表現した。
「ビットコインは“死んだまま”長くは続かない。パニックにならないでほしい」
同氏のメッセージは、ETF史上最長となる資金流出のさなかに届いた。BTCは2025年10月の過去最高値(12万6000ドル超)から5割以上下落しており、業界で最も注目される人物の一人によるセンチメント安定化の働きかけと受け止められた。
機関投資家の売りが下落を主導
ウィンターミュートは、今回の局面は米国機関投資家によるここ数週間で積み上げたポジションの一斉売却が主導したと分析した。同社は新たな資金流入が戻っていないため、底打ち判断は時期尚早と述べている。
「これまでのサポート水準が消え、下支えするものがほとんどなくなった。2024年の上昇時にはBTCは5万〜5万9000ドル帯で意味のある時間を過ごしていないため、この価格帯にテクニカル的観点での重要水準はない。方向性を決めるのは資金フローのみだ」とウィンターミュートのアナリストは指摘した。
スポット型ビットコインETFでは、5月末時点ですでに「9日連続の資金流出」が記録されており、ウィンターミュートによれば、5月30日までの流出額は約29億7000万ドルに達したという。
ストラテジーも市場不安を増幅させた。2022年以来初めて「32BTCの売却」を実施したが、同社は規模は小さいものの象徴的と説明した。
マクロ経済環境も売り圧力を強めた。米国経済は5月に17万2000人の雇用を追加し、市場予想(8万人前後)の2倍超となった。4月分も17万9000人に上方修正された。
この経済指標の強さにより、米連邦準備制度による近い将来の利下げ観測が後退し、金利上昇につながった。この状況は、一部のトレーダーにとって機関投資家の資金撤退シグナルとみなされた。
クジラは売り、小口は押し目買い
一方でサンティメントのアナリストは、小口保有者と大口(クジラ)保有者の動向の乖離拡大を指摘した。
0.01BTC未満のウォレットは2週間で合計残高を0.36%増やした一方、10〜1万BTCを保有するウォレットは0.20%減少させた。
この動きは、持続的な底値は小口投資家の「投げ売り(降参)」局面と一致することが多く、現状はむしろ小口の強気姿勢が勝っているため注目に値する。
「その広範な投げ売り(降参)は、いまだ現れていない」とサンティメントは示唆した。
同分析会社は、マーケットはしばしば小口投資家の予想に逆らい、クジラの行動に沿って動く傾向があるとし、「クジラが積み増し、小口が市場から消える」繰り返しのパターンに言及した。
一部の長期投資家は現在水準を割安とみて買いを入れ始めており、数年単位で見たリスクリワードが魅力的になったと見る。
ただし、今回の静かな買い増しは過去サイクルの安値で見られた「クジラによる積極買い」に比べて様相が異なる。
資金流入が鮮明に戻る兆しがなく、米国中間選挙を控えたマクロ不透明感も強まるなか、持続的な底値形成への模索は続く。
今後の取引で、クジラが買い手として再登場するか、小口投資家だけが反発の主役となるか注視したい。





