暗号資産史上最大の窃盗事件である約630億ドル相当の バイナンスのハッキングは、すでに暗号資産市場に傷跡を残している。ビットコインは1か月間8万ドルから8万5000ドルのレンジで推移していたが、この事件以降7万6000ドルまで下落した。
バイナンスは未だ出金を再開していない。最大手取引所の利用者が資金売却できるようになれば、市場にさらなる圧力がかかる見通し。
BeInCryptoマーケットインテリジェンスカウンシルのアナリストらは、今回の出来事がビットコイン価格にどのような影響を与えるか見解が分かれている。
分散型は暗号資産の弱点なのか
カプリオル・インベストメンツ創業者のチャールズ・エドワーズ氏は、数分以内に反応した。
「王者自身が身を守れないなら、他の取引所が信頼できる理由は何か。『スマート』コントラクトは信頼できるのか。楕円曲線暗号は本当に安全なのか。いずれも信頼できない、というのが答えだ」
エドワーズ氏は、AIによる攻撃がセキュリティ修正のスピードを上回っていると指摘。テザーが盗難資金18億ドル分を凍結したことを引き合いに、暗号資産にも人による介入が必要だと主張した。
また同氏は量子耐性を備えたビットコインのロードマップ策定を改めて訴えた。
「年初から述べている通り、コアが統治する量子耐性のロードマップが策定されるまで、ビットコインの過去最高値更新はない。過去最高値はきょうますます遠のいている」
およそ80分後、同氏はさらに踏み込んだ発言をした。
この認め方は注目に値する。エドワーズ氏は数々のビットコイン・オンチェーン指標を開発し、長年その技術を支持してきた。
ビットコインの失敗か、中間業者の失敗か
ビットコイン・パワー・ロー・モデルを開発した物理学者ジョバンニ・サントスタシ氏は、この結論を全面否定した。
同氏は、取引所やハードウェアウォレットは中央集権的なリスクポイントであり、プロトコルとは別物と見る。実物サイコロによる乱数で作った鍵は依然として安全だと主張した。
バイナンスによる調査結果も一部これを裏付けている。攻撃者が突いたのは暗号技術ではなく、運用上のセキュリティだった。
ただしサントスタシ氏の反論は量子耐性に触れていない。サイコロ生成の鍵であっても基礎は楕円曲線暗号であり、量子によるリスクの時期は依然として議論が続いている。
バイナンスのハッキングは「弱気相場の儀式」か
カウンシルメンバーのベンジャミン・コーエン氏は、この事件を周期的な現象と見なしている。
同氏のサイクル理論では、米国中間選挙年の第4四半期は弱気相場と位置付けられ、ネガティブな出来事が集中しやすいという。コーエン氏はマーケットが依然としてこの局面にあるとみる。
同氏は最近、ビットコインが銀の急落と同じパターンをたどる可能性を警告した。
3人の識者すべてが、過去最高値の更新は当面見込めないとの見方で一致する。だがその理由は、信頼の失墜、中間業者の失敗、サイクル論と分かれる。
取引所では秘密鍵より、むしろ社員の端末がリスクの焦点となった格好。ビットコインについては、エドワーズ氏が繰り返す「量子対応」の課題に中核側からの答えはいまだ出ていない。











